医療安全管理室
医療安全に関わる組織
平成19年(2007年)4月1日、医療法の一部修正が施行され、医療機関に対する医療安全対策が条文化・義務化されました。当院でも、安全で質の高い医療を提供するために、医療安全管理部門が設置されました。
安全管理体制を整備し、病院全体で組織的な安全対策を検討することで、患者様に信頼され安心して医療を受けて頂けるように、医療安全の推進と啓発を行っています。
主な活動内容
定例会議(1回/週)では、インシデント・アクシデントレポートの把握と対策の立案、並びに各部署へのフィードバックを行い、事故予防、再発防止策の策定並びにマニュアル・指針の整備、改訂などを実施しています。
毎月1回開催される医療安全管理委員会には各部署長、各委員長(上図参照)が出席し、インシデント・アクシデント事例の共有および今後の対策案等を協議しています。
さらに、各階所属のリスクマネージャー(小委員会リンクナース)と協議し、医療安全の啓発活動(患者誤認、転倒、転落防止ポスター作成など)や院内ラウンド、事例の分析、内服薬の自己管理への介入などを行っています。全職員を対象とした研修会では、コロナ禍以降はe-ラーニング研修を活用しています。
今後の展望
急速に進む高齢化社会、医療の細分化、テクノロジーの進歩、国民ニーズの多様化など、変化の激しい社会経済環境の中で、限られたリソースを用い、今後も患者さんを中心とした質の高い医療と安全対策の構築に努めてまいります。
院内感染対策委員会
病院は多くの人が集まる特性上感染が発生しやすい環境です。医療関連感染は人から人へ手を介して直接、または空気中をさまよう病原体を吸い込むことや、医療器具を介して伝播し発生します。当院では患者様と職員を感染症から守るため、院内感染対策委員会、感染制御チーム(ICT)、感染対策実行チームの3つの組織を設置し、感染対策の徹底と推進に努めています。
また、感染対策向上加算を取得し地域の病院と連携を取りながら日々の感染対策の質の向上と地域への貢献に取り組んでいます。
基本理念
- 患者様を感染から守る
- 医療従事者を感染から守る
- 総合的にみて経済的である
- 環境に配慮されている
委員会の活動
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【院内感染対策委員会】
月1回開催しています。病院長、医師(院内感染管理者)をはじめ各部署の責任者が集まり院内感染対策マニュアルに関すること、職員の教育、院内感染防止の為の情報収集と必要部門への伝達、院内消毒に関すること、予算や設備に関すること、医療関連感染やアウトブレイクが判明した場合の報告と対応に関することなどを協議しています。
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【感染制御チーム】
毎週1回開催しています。医師、薬剤師、臨床検査技師、看護師で構成し以下のような活動を行っています。
- 院内感染発生防止の為のサーベランスの実施
- 医療関連感染の発生状況の監視、アウトブレイクや異常をいち早く特定し迅速な対応がなされるための情報管理
- 手指衛生実施状況の監視、啓発
- 院内ラウンドによる感染防止対策の確認、指導
- 職員の教育、研修の紹介(年2回実施)
- 抗生剤使用量のモニタリングと適正使用の推進
- 感染性医療廃棄物を含むゴミ分別の適正化と監視
- 患者、職員へのワクチン接種の推奨
- 職業感染防止対策と事故後の対応
- 医療器具の消毒、滅菌の適正化
- 感染対策の相談窓口
- 地域連携
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【感染対策実行チーム】
月1回開催しています。外来、健診、各病棟、施設の代表看護師とリハビリテーション代表で構成しています。各部署の感染対策の現状や問題点を把握し感染制御チームに報告します。ICTと現場の繋ぎ役といったところです。
各部署の情報交換を行い、ICTを補助して現場で効果的な感染対策を遂行する役割を担っています。
褥瘡対策委員会
入院・入所されている患者様の中には様々な病気により寝たきりとなられた方や、一時的に状態が悪くなりベッド上での安静を余儀なくされた方などおられます。 褥瘡の発生は同じ姿勢で長期にわたりベッド上に寝たままの状態になると接触部分の血行不良により発症します。 私たち褥瘡対策委員会は寝たきりとなられた患者様でも褥瘡の発症を予防することを最大の目標(目的)として平成14年に発足し、褥瘡に関する予防策や褥瘡発生後の適切な処置方法など必要な対策の実施など日々活動しております。
基本理念
- 褥瘡を発生させない
- 褥瘡の患者様に対しては適切な処置を実施する
- 常に向上心を持ち、自己研磨に努める
活動内容
- 対策委員会を月1回開催し、褥瘡対策マニュアルの整備(見直しも含む)、褥瘡発生状況確認、回診(ラウンド患者の選定)、マットレス委員会との連絡調整、症例毎のリスクアセスメント、適切な治療、看護についての検討。
- 褥瘡予防勉強会の企画(実施)
- スキンケアに関する活動
- 体圧分散マットレスの管理・運営
- 月1回チームでのラウンド(褥瘡ラウンド・マットレスラウンド・スキンケアラウンド・ポジショニングラウンド)
- NSTなど他のチームとの連携(協力)
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院外の医療機関・施設との連携など
- 地域社会や院内における褥瘡の発生を防止し、患者様が健やかに社会生活を送ることができることを目標に頑張っています。
緩和ケアチーム(PTC)
2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで亡くなる時代、がん患者とそのご家族を専門性を持って支援するチームとして2014年4月に緩和ケアチームを発足しました。がんの患者様とそのご家族に対し身体や心のつらさを和らげて、できる限り快適でその人らしい生活が送れるよう支援しています。がんの患者様の抱える苦痛は身体面・精神面だけではなく、社会面・スピリチュアル面など多様であり、それに対応するため、医師・看護師・薬剤師・理学療法士・作業療法士・栄養士・ソーシャルワーカーなど多職種で構成・連携し問題解決に当たっています。
活動内容
- 身体症状の緩和、精神的支援
- 意思決定の支援
- 療養場所の調整
- 家族への支援
- 院内の医療従事者に対し、緩和ケアに関する勉強会の実施
- 院内の医療従事者に対し、日々の臨床活動の場での助言・教育
- 月に1回チームカンファレンスの実施
サポートチーム
サポートチーム(医療チーム)
5つのサポートチーム(医療チーム)が組織され、それぞれの目的に応じてチーム医療を実践しております。またサポートチーム同士での連携も図りながら、様々な視点から患者様をサポートしています。
栄養サポートチーム(NST)
NSTとは、患者様の栄養管理を医師・看護師・管理栄養士・薬剤師・理学療法士など多職種により支援するチーム医療として欧米で始まりました。 近年日本でも普及しはじめ、当院でも平成21年4月に栄養サポートチームを発足し、平成22年4月にJSPEN日本静脈経腸栄養学会よりNST稼働施設として認定され、現在もチーム医療の柱として活動しております。 当院での栄養サポートチームの基本的な考えとしては、栄養状態や摂食状況の悪い患者様へ積極的にアプローチし、必要な栄養を一番適切な方法で摂取できるようにと考えています。
●活動内容について
- 摂取量や栄養状態の観察を行い、管理していきます。
- 毎週カンファレンス・ラウンド(回診)を行います。
- 他のチームと協力し、患者様の早期回復や退院に向けて援助を行います。
- 職員全体への技術向上および知識習得のサポートを行います。
摂食・嚥下サポートチーム(SST)
SSTチームでは食べ物に対して飲み込めない、ムセるなど様々な摂食障害を有している患者様を対象に平成21年12月より活動しております。私たちSSTチームは患者様が安全においしく口から食べていただくためのお手伝いをしてまいります。
●活動内容について
- 適切で安全な栄養摂取に向けた指導・訓練の提案を行います。
- 摂食・嚥下障害に伴う合併症の予防・早期発見・治療に努めます。
- 月に2回 カンファレンス・ラウンド(回診)を行います。
- 他のチームと協力し患者様の早期回復や退院に向けて援助を行います。
- 職員全体への技術向上および知識習得のサポートを行います。
呼吸サポートチーム(RST)
RSTチームでは様々な疾患により呼吸に異常をきたしている患者様に対し、医師・看護師・理学療法士などチーム医療でサポートする体制としてNSTチームの発足を機にH21年12月にRSTチームを発足し活動しています。 私達RSTチームでは人工呼吸器療法・酸素療法・気道管理・呼吸リハビリテーションなどの呼吸療法に関するコンサルテーションを行い、楽に呼吸ができるよう支援しています。
●呼吸療法認定士
当院には3名の呼吸療法認定士がいます。(PT2名、OT3名)
そのうちの1名がRSTチームに所属し活動しています。年2回(6月・10月)に認定士受験対策の勉強会を行っています。
●活動内容について
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ラウンド・ミーティング
月に1回ミーティングを行い、定期的なラウンドも実施しています。
・ラウンド内容…
- RST依頼のあった新規患者、介入後の評価など
- 酸素ラウンド → 酸素療法中の安全管理ラウンド
- 人工呼吸器のラウンド → 使用中の安全管理ラウンド
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呼吸療法の教育
職員全体の知識、技術向上のため呼吸療法に関する勉強会を行っています。
・呼吸器に関する勉強会…
- アラーム対応、呼吸グラフィックモニター、NPPV、ASV、ウィーニングなど
・呼吸療法に関する勉強会…
- BLS、吸引、排痰、CO2ナルコーシスなど
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マニュアルの整備
呼吸療法に関するマニュアルの作成と整備を行っています。
サポートチームの活動事例
患者は80歳の女性患者で自宅療養中でしたが、心不全増悪による呼吸困難かつ褥瘡の形成もあり治療のため入院となりました。 入院時の評価として、痰量の増加により呼吸障害を生じ、それに伴い食事を十分に摂取することが出来ず、栄養量不足となり褥瘡悪化の原因にも繋がっていると推測されました。
●各サポートチーム(NST・RST・SST)が介入する
| NST | 摂取状況を十分に観察し食事量(栄養量)、食事形態内容を検討した。ミキサー食ならムセなく摂取し、食欲もある。 通常量に加え、栄養補助食品を含め高めにエネルギー量を設定した。 |
|---|---|
| SST | 食事誤嚥防止のための体位・介助方法の検討をした。 |
| RST | 呼吸困難感があるため呼吸安楽体位の検討を行った。痰量が多く、さらなる呼吸困難を招く恐れがあり、排痰も実施した。 |
褥瘡委員会とも情報交換し、褥瘡悪化防止の為の体位を調整した。
●介入後の経過について
| NST | 十分な栄養量の食事を毎食全量摂取している。 栄養状態は改善した。 |
|---|---|
| SST |
体位、介助、嚥下状態の確認。 継続して実施できている。 |
| RST |
心不全の改善に伴い、呼吸状態は徐々に回復する。また、痰量も同時に減少した。 排痰は状況に応じて実施し安楽体位は継続した。以後も経過観察し状態の悪化があるようなら呼吸機能の再評価を行う。 |
●在宅復帰に向けての再評価
| NST | 必要栄養量についての指導 補助食品などを含めて内容を検討 食事形態についての調理方法などを指導 |
|---|---|
| SST | 食事形態や嚥下食についての指導 介助方法や体位について指導 |
| RST | 心不全予防に向けた食事量・水分摂取量の指導(NSTとも相談) 過負荷になるような日常生活、運動制限、安楽体位の指導 |
全身状態が安定し、在宅退院となりました。
このように当院ではそれぞれのサポートチームが連携を取りながら患者様の一日も早い回復のためにサポートさせていただきます。

